2015年03月21日
吾妻連 吾妻町 金箔彫刻と二段欄間 水窪営林署秘蔵の欅
吾妻連 吾妻町
二俣型一層唐破風大屋台
平成八年(1996)復刻新調
大工 早川真匠
彫刻 伊藤松次郎(彫松)
吾妻連大屋台は明治期建造で二段欄間、金箔彫刻の二俣型屋台を古城連、㡌山連同様に修復する計画が進められていたが、老朽化が激しく、彫刻は全て流用したものの屋台本体部分は全面的に新調された。
屋台の基本的な寸法は彫刻の大きさに合わせ高さ以外は踏襲し復元新調とした。
この時はまだ、東京営林局水窪営林署が存在しており、おそらく、最後の最後の秘蔵の水窪欅によって非常に美しい杢目の屋臺が完成している。
水窪の欅は良質で彫刻にも適しており評価が高かったようである。
現在の浜松市天竜区域の林業では植林された杉、檜がメインで、かつて天龍の屋臺に使われた天然欅の資源は少なくなっているようだ。
浜松御殿屋台の祖三嶽工匠四代目早川真匠氏が初めて棟梁として世に送り出した屋臺である。
吾妻連大屋台の最大の特長は、大正年間と推定される金箔彫刻と二段の欄間。
二俣型大屋台では最古ではないかと云われる先代諏訪連(旭連→大藤五豊社→水ヶ谷連)、先代叉水連(金勢社)、先代西古連(万斛西)は何れも欄間が二段。諏訪、叉水、吾妻、西古は明治前期から中期にかけて二俣諏訪神社祭典に参加。屋台の建造時期は明らかではないが、上記四連の先代屋台は「明治年間に建造」と伝わっている。
二段欄間は春野町堀之内の鷹尾連、龍勢社、有聲舎、領家の北領社、気田中栄社の先代屋台にも見られる。有聲舎以外は何れも明治前中期以前の建造と思われる屋臺である。
磐田市下万能松尾社の屋臺が先代の気田中栄社。この二層高欄四輪屋台と北領社(二層高欄二輪屋台)を含め、何故か二段欄間の屋台は二俣と春野の明治年間建造屋台に集中している(他に明治二十八年建造磐田市中泉東組も二段欄間)
また、先々代南がく連金屋台のように、江戸期建造の屋臺に金箔彫刻は散見されるが、金の価格が上昇したであろう明治以降建造の屋臺で先代流用以外の金箔彫刻は殆ど見られない。
明治から昭和中期まで吾妻町には遊郭があり、山持ちの旦那衆や高給の筏乗りらが集まり賑わった町の栄華が窺い知れる。
先代屋臺は掛塚から中古で買ってきたという説が吾妻町にはある。
然し、後方鬼板の金箔彫刻は吾妻町の郭のマークであり、金箔彫刻が吾妻連のオーダーで作製されたのは間違いない。
有名な「彫松」こと伊藤松次郎の彫刻は金箔以外の彫刻だと云われている。
先代吾妻連大屋台については、まだ詳しくわかっていない部分が多い。
先代吾妻連大屋台は、二俣の屋臺では珍しい、御簾脇障子を有していた。
また、屋臺の両脇には建具の嵌まる鴨居、敷居が存在した。
四輪屋臺としては、腰から下が低い。
こうした造りは、横町時代に四輪から二輪に改造されたという先代叉水連(金勢社)や、やはり四輪から二輪に改造されたという龍勢社や鷹尾連にも共通する。
福田福助連は、江戸時代に建造された掛塚型一層唐破風本舞台の原型のようにも思えるが、江戸期建造とされる遠州四輪屋臺は、総じて腰が低く、また建具の嵌まる鴨居、敷居が在るケースが多いようだ。
そして、上述のように吾妻町には屋臺を掛塚から買ってきたという口伝が伝わっている。先代屋台のベースとなっていたのは相当古い時代の掛塚の屋台であったということだろうか?
大正十一年の諏訪神社祭典年番記録には、吾妻連が屋台破損に付き底抜屋台(花屋台)での交際を願い出ているが、神事である神輿渡御中は底抜屋台曳き廻しは絶対に不可能であると決定している。
なお、この年は古城連も(理由は不明だが)神輿本殿に御帰還後の屋台行進(曳き別れ後)に底抜屋台での行進を申し入れ認められている。
明治後期から大正期の祭典年番記録を見ると、各連において度々屋台破損につき出動不能の記録が残っている。また、南がく連や二府連には何度も屋台が破損し大掛かりな改修工事を行っていた記録がある。
吾妻連先代屋台も、こうした破損により度々手が加えられていた可能性もある。
明治期の二俣、犬居の屋臺の謎は解明されないまま・・・その鍵を握っていた謎多き仕様の屋臺、先代吾妻連は復元新調時に解体されてしまい謎は永久に謎のままとなった。
DVD『諏訪神社祭典 人之巻』『諏訪神社祭典 地之巻』に収録!!
Posted by 天竜北遠のお祭りを応援する會 at 18:59│Comments(2)
│天竜区二俣町
この記事へのコメント
こんにちは☆
ブログご覧下さりありがとうございます♪
お写真がとてもキレイで迫力が伝わってきますね!^^
ブログご覧下さりありがとうございます♪
お写真がとてもキレイで迫力が伝わってきますね!^^
Posted by わのわ at 2015年03月23日 15:37
わのわさん、コメントありがとうございます。二俣は、この屋台が走ってきますので、実物を見ますと大迫力ですよ!
Posted by 遠州二俣祭り馬鹿 at 2015年03月29日 14:09